不便さが感性を育む

シンフォリカリフォス

こんにちは。今週のお花、シンフォリカリフォスです。
可愛らしでしょ。


さて。「不便さ」についての話題です。
不便な方が感性を育むのではないか・・・という、誠花堂的、捻じれたテーマです。

最近、よく通われているNさんは、ベテランお母さんでして、三人の立派なお子さんを育てられた方です。対する僕は新米パパとして、毎回、教えられる事が多いのですが・・・。

そんなNさんが語ってくれた、「こどもにはプラスチック製の器は使わせなかった」という話題から、今日は書いています。

プラスチック製の器は使わせない

プラスチック製の器だと手に取っても、食べ物の温度が伝わりにくい。どのくらいの温度なのか掴めないから、火傷しやすかったり、その拍子に器を床に落としてしまったり。

でも、陶器の器なら器を手にした瞬間に、「ああ、今日はぬるいな」とか「激熱だな」と感じることができる。

そういう事って、意外と大事なんじゃないか?という問いから、プラスチック製の食器を使わせなかったそうです。
たしかに、その通りかもしれません。実は僕たちはモノゴトを通して、たくさんの情報のやり取りをしています。


敢えて。焦げ付くフライパン

焦げ付かないフライパンという優れモノがあるらしく、経験未熟な人が使っても、確かに焦げないという。これはこれで偉大なる発明です。確かに便利ですね。でもその代り、おいしく火が通らなかったりするという面もあるという。。。うーんどっちをとるか。

普通のフライパンではダメなのでしょうか?不便かもしれませんが、それで数千年、人類はやってこれたわけですし・・・。
それに「焦げないように火を通す」ことで養われるカンやコツ。工夫がある訳で、便利な道具は実は私たちの能力を退化させている面がありますね。


微細な感覚を養う

実は、鍼もお灸も同じことがいえます。
「鍼をトントンする」と表現する人もいますが、鍼管という管が江戸時代に発明された事で、鍼の刺入は容易になりました。たいへん便利です。
杉山 鍼管

素材も変わりました。鉄・銀・金製の鍼は、あまり見かけなくなる代わりに、ステンレス製のよく滑る鍼が普及しました。
銀鍼などは、人体との親和性が高いため、よくからだが反応します。浅くてもビンビンに反応してくるために、深く刺すのは難しい。
ステンレス鍼だと危ないくらいに抵抗がなく、スポスポと身体に入っていきます。これだと、鍼の微妙な感覚が養いにくい。

僕は、新宿にある東洋鍼灸専門学校という伝統校に学びましたが、そこでは、便利な鍼管やステンレス鍼は一切使わせてくれません。
そんなモノを使っていたら、「情けないヤツ!」と言わんばかりに、白い目で見られてしまう。(もちろん、単位も貰えない。卒業すらできない)。
いわば、焦げないフライパン、プラスチック製の器みたいなものに相当する鍼で練習しても、うまくはならないということなのです。

そんな訳で、はじめは「銀鍼」という、フニャンフニャンと軟らかく、曲がりやすい鍼で練習をさせられます。
鍼管を使いません。その練習に、半年以上の時間を費やして取り組んでいる中で、鍼の微妙な扱いが上達していく。始めから便利なステンレス鍼ばかりに慣れてしまうと、鍼の微妙な味が分からない訳です。


ところで、いま誠花堂ではステンレス製の鍼をメインで使っています。道具に左右されずに効果を出すこと。それもまた職人の腕の見せどころであるわけですが、それは段階を踏んでからの話なのです。それはまた別のお話で。

コメント


認証コード1011

コメントは管理者の承認後に表示されます。