秋の養生(1)もの悲しいのは肺のせい?

陰陽五行説では「」は「」との親和性があり、感情面では「悲・憂」に関連すると考えます。

肺が衰えると声は小さくなり、背筋が曲がり、やる気が落ちたり、悲観的になったりして「気魄」が衰えます。注意力も散漫で、皮膚感覚は鈍くなります。肺は「魄」を蔵すといっています。

肺気が弱る一方、肝気の納まりどころがない人が多く、そわそわとして、眠りが浅くなります。
肝は「魂」を蔵し、肺の魄と合わせて「魂魄」といい、肺と肝(魂魄)の異常があると、過敏なのにどこか麻痺しているという矛盾した体になったりもします。

なので肺気が衰えないよう、守って、助けてやらねばなりません。
肺気の天敵の一つは、秋の「燥」邪です。
長く悲しみすぎても肺気が衰えます。先程は、肺気が衰えるのと悲観的になると書きましたが、鶏と卵の関係にあります。

他には、風邪やアレルギー性疾患、耳鼻咽喉科系の疾患を引き起こしやすくなります。酷暑の年は、体力の消耗が激しいので、こういった症状が秋に現れやすく、悪化もしやすい。プラス精神面では「もの悲しい」情緒が発生しやすい。
さらに肺と大腸とは表裏の関係にあるので、大腸にまで影響が及ぶと、便秘や下痢にもなります。

養生法のポイント

呼吸が大切です。肺気は息を吐くことと関わります。「ふ~~~‥‥」と''溜め息をつく人は、普段、うまく息を吐けていない。それを無理やり二酸化炭素を排出して、帳尻あわせをしているようなところがあります。だから、意識的に吐いてやればいい''。

だからヨーガや太極拳がお勧めなんです。これらは東洋の体操も兼ねた呼吸法なので、正しいやり方であれば「魂魄」を効率よく整えることがあります。
私がいつもヨーガや太極拳をお勧めしているのはそういう訳なのです。

肺の気を助けること。特に夏の間にをかき過ぎていたり、辛味を取り過ぎていたりすると、肺の気は消耗しているはず。よく営気を養わないといけない。栄養のあるものを食べて、よく寝ましょう。

気温が下がり始めたなら、積極的にお外に出て太陽の下、背中に陽気を燦々と浴びて身体をノビノビと動かしていると、肺の気が整うと同時に、肝気も整うので、呼吸もいつの間にか深くなる。陽気はめぐり、いつのまにか、もの悲しい気持ちはカラっと吹き飛んでしまう。

「もの悲しい」のは、僕やあなたがセンチメンタルな人だから、ではないかもしれません。

これが秋の養生法のひとつです。

NAT85_beachnosanset1.jpg

正岡子規 創造性の源泉について

正岡子規は幼少期から虚弱体質で、風邪を引く名人であったという。子規が肺と腸に結核を患ったのは、肺-大腸の気の変動があったことを示唆している。
子規の繊細な感性は、病弱な体質と無関係ではなかった。肺気不足による悲憂と旺盛なる肝気は創作の源泉でもあったであろう。
子規が鍼灸を知り、養生法を実践していたならば違った未来があったかもしれない。だが、歴史に残る俳句の数々も生まれなかったかもしれない。難しいところである。

LINEで送る

コメント


認証コード9968

コメントは管理者の承認後に表示されます。