摂氏0℃の水が温かく感じるとき

マイナス50℃の世界
『マイナス50℃の世界』
米原万里著 角川ソフィア文庫

外に出たら、60秒でこうなるらしい。

ここはマイナス71℃を観測したことがあるサハ共和国。

吐息に含まれた水蒸気によって、瞬間的に凍結するという。。。

僕だったら、到着した瞬間、即死しそう。

この『マイナス50℃の世界』では、寒中水泳をしている人の写真も掲載されています。外気はマイナス50ですから、むしろ0℃でも水中の方が「暖かく感じる」のだという

そんな話を養母氏としていたら、シベリア抑留から鹿児島へ帰国された方のお話が出た。そのお方の話では、炭鉱内は常にマイナス18度に保たれており「とても快適だった」という。
それで鹿児島に帰ってみると、皆はマイナス5度で「寒い寒い」といっていた。マイナス18度の世界に慣れた者にすれば「暑くて暑くてしょうがなかった」そうだが、数年もすると徐々に鹿児島の気候に慣れていっていったそうな。

そういえば、先日読んだ『ワイルドスワン』(ユンチアン著 講談社文庫)でも、漢方医の夏先生がマイナス20度の寒空のなか、毎朝水浴びをするという描写があり、驚きました。

人間って面白いですね。凄いですね。こんなに寒いところでも人は暮らしていけるという。

このような厳寒の大地で生きる人々はいったい、どのようなものを食べているのでしょうか。気になる所です。

厳寒の風土では陽性食を

どうも、基本的に肉食のようです。「苔」くらいしか生えないみたいですから、現代栄養学が推奨するままに30品目も揃えるなんて難しいのではないか。それでも彼らは元気に暮らせている。我々は、そのことをもっと思うべきですね。

草木の繁らぬ大地でわずかに生える苔。それを食べるトナカイがいて、そのトナカイを頂くことで彼らは暮らしている。血液も腸詰にするので余る物はありません。こうして貴重なタンパク源を確保しつつ、ビタミンも補給しているという訳です。

石塚左玄の歌が思い出されます。
「遠海の北と雪との水国は寒さ凌ぎにを食うべし」
「魚や塩得るによしなき山里は、鳥獣のを食うべし」
「春苦味、夏は酢の物、秋辛味、冬は脂肪と合点して食え」
「大陸の麦と薯とに育つ人。勤めて食えよ肉や卵を」

石塚式陰陽論でいえば、とてつもない陽性食ですが、なんせマイナス50℃の世界です。そのくらい偏りがあって調度いいという訳ですね。
日本の風土は、全体として大雑把に言えば陰陽どちらに偏るというより、四季により入れ替わり、変動する。よって、変動に応じて生活様式も食べ物も変えることで適応してきた。

まとめです。
人間はマイナス50℃という環境にも適応できる力を備えていること。

その風土で採れるものが、その土地で生きていく生命体にとって必要なエネルギー源になっている妙があること。特に過酷な環境であるほどに、偏りがあること。その一例をみることができた。

この自然の摂理と采配に感動を覚えました。

おまけ:石油製品はマイナス40度以下では使えない?

知りませんでしたが、そうらしいです。ビニール製のバッグも戸外に出ると破れてしまい、プラスチック製のふたなども粉々になってしまうという。
毛皮をまとうことは動物愛護の観点からすれば悪なんでしょうが、寒すぎて合成繊維が使えないような土地では必需品なのだそう。

米原万里

本当におもしろい本でした。誠花堂的、本年のベストアワードです。内容は、取り上げだしたらきりがないのでこの辺で。

興味があるかたは、ぜひ書店で手に取ってみて下さい。

もちろん、誠花堂の本棚にもあります。

    コメント


    認証コード2334

    コメントは管理者の承認後に表示されます。