鍼灸治療によって、そもそも元気になり、不調が減ります。健康になった結果として、授かりやすい状況が作られる。そういう順番のほうが楽だと思います。ベースの部分が変わるので、体外受精をした時も授かりやすくなります。
毎週、通院されたとしても1、2万円程なので費用対効果として高いと思います。

「どちらか一方の問題」ではなく「夫婦の問題」として

不妊症のうち半数は男性に原因があるという認識を持つ必要があります。WHO(世界保健機関)の調査によると、女性に原因がある場合は41%。男性に原因がある場合は24%で、男女ともに原因がある場合は24%。男性の問題がある場合は合計48%です。

不妊の原因 男女別の割合

比較的、男性の方が健康への意識が低い傾向にあります。「自分は元気だ。どこも悪くない」と本人が言ってもまったく当てになりません。自覚症状がないだけだったりします。特にアレルギー体質、腰痛持ちであったりする場合は要注意です。「腎」の気が衰えている証でもあり、性機能の減退を示唆します。睡眠状態や生活習慣も気になる所です。
精子の量、運動率などは加齢と共に少なくなることが分かっており、晩婚化している現代では尚更、男性側のコンディションの維持・改善は必要です。

もちろん、母体である女性側のコンディションは重要です。妊娠成立後もつわりや貧血などを軽減し安産となるようケアをしておくことができます。妊娠期間中を快適に過ごすためにも、鍼灸治療でやれることはたくさんあります。

ですから、誠花堂では不妊治療をどちらか一方だけの問題とはせず、夫婦の問題として、共にはじめの一歩を踏み出す提案をしています。

不妊治療

月経困難や更年期障害などは、婦人科系疾患と分けて記載してあります。


不妊症 多嚢胞性卵巣症候群

31歳 作業療法士 I・Mさん 初診2013年1月

結婚4年目。不妊治療でかかったクリニックでは片側性の多嚢胞性卵巣症候群と診断され、治療をうけてきたが、東洋医学の視点から取り組んでみたいという事で来院。週に一回のペースで取り組んでいくことに。夫婦共に治療を受けられた。多嚢胞性卵巣症候群は、視床下部-下垂体-卵巣のホルモン分泌の不調和により起こるといわれている。全身的な問題として取り組んでいく。
1月に治療を開始し、徐々に身体上の不調和が解消されていくと、4月になって妊娠がわかった。ついでににきびも減る。その後、元気な男児をご出産。産後の回復も早く、その後、第二子も無事出産された。
このケースでは明確にご主人に不調があり、アレルギー性の湿疹に悩まされておられた。アレルギー性の体質を変えることは不妊解決に必要である。夫婦でともに通われる方が結果的には経済的で、効率もよいように思える。

不妊症

34歳 歯科衛生士 T・Nさん 2011/3/10

初回はめまいが主訴であったが不妊治療へ移行。数年の不妊治療に疲れていたが、諦めらない。東洋医学で身体を整えつつ、緩やかに不妊治療もしていきたいという。「妊娠しやすい体作り」を目標に、気を楽にやっていこうということで治療開始。冷えとのぼせがある。その他、よく口内炎ができる。便秘がち。

2回目の治療後にはめまいは消失。5回目の頃には便通も口内炎の状態も良くなり、月経痛もほとんど気にならなくなる。腹部も暖かくなりはじめる。その後、週一回の治療を続けて、20回目の頃にご懐妊した事が判明。逆子や難産防止を目的とした治療に移行した。 その後、元気な男の子を出産された。

二人目不妊症

34歳 薬剤師 S・Yさん

二人目がなかなか授からない。産婦人科で不妊治療を一年間受けてきたという。「なにか不調はないか」と問うも、なにも症状がないという。腹診でも、問題がないこともないが、それほど極端に悪くはない。どうしても鍼は怖いというので、お灸のみで治療。週に一回のペース。

3月から始めて半年。まだ授からない。「どこも悪いところはない」とご主人は仰るそうだが、なんとか上手く説得してもらい一緒に来院して頂く。ご主人は仕事がら日頃、過度な頭脳労働と運動不足とがある。腎気の不足が目立ち、実は慢性腰痛を患っておられた。結局、全期間を通して来院されたのは2回だけであったが、自宅でできる養生法を伝え、実行してもらう約束をした。Yさんもこの事からか「鍼も試してみる勇気が出た」ということで、ここからは鍼治療をメインに切り替えた。
そこから更に治療を続ける事2カ月が過ぎ、脈に変化がでる。確認してもらった所、めでたくご懐妊であった。その後も継続して来院。初産では、毎日吐いて、食べることもできなかったが、今回は食べられるという。その後無事、元気に第二子を出産された。現在は「三人目も!」という事で来院されている。

二人目不妊

32歳 K・Kさん 主婦

元々は、猛烈な月経痛と冷え症が主訴で通われており、その後元気な男の子を出産された。

その後「二人目が授かりにくい」と来院。第二期の治療開始。病院では特に異常はないという。ただし、初産のあとに一度流産しており、消耗から回復しきれていないように見える。とにかく疲れて家事もままならない。月に2、3回の治療。治療を始めてから半年ほどして、お腹にちからが大分戻って疲れにくくなる。
ご主人も治療に来られ、アレルギー性鼻炎があり、腎気の不足がある。「精子の色が薄く水っぽい時がある」と教えて下さった。体調によるらしく、身体が元気になる毎にそういう事は減っていった。
治療を開始してから半年後、めでたくご懐妊された。その後、安定期まで治療を続けて終了となった。

妊婦の貧血

20代 専業主婦 K・Tさん 2010/05/05

貧血が酷く、ヘモグロビンは8.5しかない。「よく歩け」と周りからしきりに言われるが、フラフラしてそれどころではないという。人参養栄湯と鉄剤を合わせて飲んでいるが思うように改善されてこないと焦りがある。また、妊娠後に親知らずが4本同時に痛み、欠けてしまったという。とりあえず詰め物を被せて授乳が終わったら抜歯するのだという。

治療を初めたとは言っても、隔週でしか来ることができない。鍼灸治療の他に、自宅でのお灸をしてもらうことにした。2か月を経て、ようやくヘモグロビンが10.0台に回復したため助産院での出産が叶ったと喜ばれていた。安産の鍼をして終了。産後は母体へのフォローやお子さんの湿疹の治療などで来院された。

ちなみに歯の痛みに関しては、疼痛が緩和されるように一応鍼をしておくが、しばらくするとやはり再発していた。物理的に歯がかけてしまうと、どうにもならない。

逆子 31週 動悸 息切れ 貧血

30代

肩のコリ、手足の冷え、足のむくみがある。初回治療後、逆子は戻る。そのまま安産の鍼灸をすることになり、治療を継続。4回目、坂道を歩いても息切れが出づらくなった。足のむくみ、冷えも減ってきた。治療前は鉄剤を飲んでもヘモグロビンが8.4しかなかったのが、10.1にまで回復してきていたという。その後、無事にご出産。安産であったという。

逆子 34週

37歳 事務職 2014/11/6

逆子体操やヨガなどをやってみたが戻らないので紹介されてきた。2回目、お通じがよく出るようになる。6回目、検査へ行ったら逆子が戻っていた。

逆子 32週目に来院

30代 女性 専業主婦

30週目で逆子になり逆子体操をしたが治らない。32週目に来院。帰りの遅いご主人に合わせて夕食も就寝も遅い。中途覚醒。胸のつかえ、気の停滞が原因にあると思われた。他には、冷飲はしないが夏なのでたまにアイスを食べるという。4回目、逆子が戻っていたと喜ばれる。そのまま自宅でのお灸は続けてもらう。

逆子 30週目に来院

34歳 事務職 N・Yさん 2014/8/12

28週目で逆子になり逆子体操を2週間してみたが治らない。つわり、 貧血、足のむくみもある。アイスや果物、甘いものが好き。身体の左右差が大きいが、それほど状態が悪いようには思えなかった。3回目の治療のあと、検査の結果がわかり、逆子は改善したので治療は終了した。安産のお灸を教えて終了。その後も順調であった様子。

つわり 妊娠悪阻 

26歳 医療職 M・Hさん2014/5/14

妊娠3カ月目からつわりが酷くなり、1日に7回も吐いてしまう。ひと月経ったが、収まらない。ゼリーだけを摂っている。体力の消耗が激しい。病院にもかかっているが、どうにもならないといって来院。初産。

初回の治療では特に変化なし。翌日に2回目、方法を変えて臨む。5日後に3回目、目に精気が現れ、顏色が良くなっている。「おにぎりが食べられるようになりました。」と大いに喜ばれる。「悪くなったらまた来ます」と笑顔で卒業されていった。悪くなる前に予防しておく事が大事なのだか啓蒙には失敗してしまった。

つわり② 妊娠悪阻

30代 事務職 T・Kさん

初産の時は、妊娠期間を通して、ずっと気持ちが悪かったので、今回はそれを予防したいという。来院された時にはすでに5週目に入っていた。素晴らしい心がけであるが、もう少し早く来てもらえると、とても楽になると思われた。

治療をしたものの、翌週からつわりが始まる。口が苦い。台所に立てない。治療をすると翌日くらいまでは気持ち悪さがなくなる。2日置きに治療して3回目。下痢もあったため、体重が3kg減った。7日後、4回目、ようやくつわりで苦しむ時間が減ってきたという。5回目、大分良くなった。顏色もいい。前回よりも早く収まった点で、意義のある治療であったと言える。

つわり③ 軽症

30代 専業主婦 T・Aさん

妊娠5ヶ月目。つわりで嘔吐するのを我慢しすぎて肩も痛い。初産の時のつわりは産後まで続いたという。

初回治療後、「食べられるようになった」という。二回目の治療。ムカムカは減ったが首肩腰がまだ辛いので、そちらを治療。三回目、「魚の臭いを嗅いでも大丈夫になった」という。三回の治療で終了となったが、出産までメンテナンスとして月に一,二回通われた。

つわり④

33歳 歯科医師 M・Kさん 2014/10/27

妊娠6週目。夜中と明け方に2回吐く。疲れやすく貧血気味。2回目、少し食べられたという。3回目、ご飯が食べられた。7回目、大分調子が良くなった。


つわりにしろ逆子にしろ、土壇場となってから治療をするよりも、予防として未然に防ぐ方が懸命です。月に1,2回でも十分ですから、妊娠前にあらかじめメンテナンスをしておくことをお勧めしています。母子ともに健やかに過ごすことができます。

この症例集の目的

鍼灸治療に関する「よくわからないこと」が少しでもクリアになるように作成したのがこの症例集です。よって、専門家向けの学術的なものでもなければ、治療の有効性を過大に謳うゴットハンド的なものでもありません。

レストランが様々なように鍼灸院も、鍼灸師もさまざまです。ですから、この症例集は、あくまで誠花堂の場合です。誠花堂で日々当たり前のように起こっていることを等身大のまま示したのが、この症例集です。よって、全国どこでも鍼灸院であれば同じようにできるという話ではありません。また、鍼灸治療の限界を示すものでもありません

WHO鍼灸適応疾患

WHOでは以下のように評価されており、現在の日本の医学界における評価にくらべれば格段に高く評価されているといえます。ですが、それでもまだ不完全です。現実にはもっと幅広い疾患に対応してきた歴史が鍼灸にはあります。ここでは便宜上WHOの適応表を借りて作成しています。

神経系疾患神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ヒステリー
運動器系疾患関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)
循環器系疾患心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ
呼吸器系疾患気管支炎・喘息・風邪および予防
消化器系疾患胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾
代謝内分泌系疾患甲状腺機能亢進症・バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血
泌尿器系疾患膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎
婦人科系疾患生理痛・月経不順・冷え性・不妊・更年期障害・乳腺炎・白帯下
耳鼻咽喉科系疾患中耳炎・耳鳴・ちくのう・扁桃炎・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎
眼科系疾患眼精疲労・疲れ目・かすみ目・結膜炎・仮性近視・ものもらい
小児科疾患小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善
それ以外の疾患頭痛 花粉症 過敏性脹症候群 貧血 皮膚疾患 不妊・逆子・つわり 中心性網膜症 線維筋痛症

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*該当するページがなくても、対応できる症状のすべてを網羅している訳ではありません。興味がある方は、お問い合わせ下さい。