はじめに当院では新型コロナ発生以前から、感染症による後遺症の治療をしてきました。これらの不調は血液検査や画像診断で確定できるものでありません。そのため、その存在自体があまり認知されていませんでしたが、新型コロナ大流行によって注目されるようになったという状況にあります。そういった状況にあるのにも関わらず、後遺症に対する理解は必ずしも広がってはいない様子です。その存在は社会からは見えづらくそれぞれが孤立していること。周囲からも理解されがたく、その事で二重の苦しみの中にいたりする・・そんな方たちが大勢いる事を知った一年でした。1日でも早く良くなって欲しい。1ミリでもより楽になって欲しい。そのための創意工夫を重ねた1年でした。治験が増えるなかで分かってきたこともありました。後遺症と言っても軽症・重症と程度は様々です。不調の内容も様々です。誠花堂には長年の経験と複数の手法があり、難治性の症状であってもできることがあると思います。お困りの方はどうぞご相談ください。微力ながら最善を尽くさせて頂きます。 誠花堂 河原直貴 2023/11/23よくある訴えオミクロン株以降の後遺症患者が多く、主な症状としては体痛や倦怠感・疲労感、不安感、鼻のどの違和感を訴える方が多いです。慢性上咽頭炎を併発していたり、感染後に持病が悪化した、再発したといって来院される場合もあります。また、ワクチン後からの不調という方もおられますが、訴えられる症状はコロナ感染症後遺症とほとんど違いがありません。その他のよくある症状:関節痛・筋肉痛・咳・たん・息切れ・胸痛・脱毛・記憶障害・集中力低下・不眠・頭痛・抑うつ・嗅覚障害・味覚障害・動悸・下痢・腹痛・睡眠障害・筋力低下新型コロナ罹患中から症状が持続するケースもあれば、いったん回復した後、数日~数週間後にあらたに不調が出てくるケースもあります。感染症が重症化する場合は病原菌やウィルスが強すぎたり、感染者の免疫力が低下していたり、または間違った対処法を取った場合などがありえます。間違った対処法というのは、風邪なのに入浴したり、自己判断で誤った服薬をしたり様々です。良かれと思ってこじらせるというパターンは新型コロナ以前からよくありました。新型コロナ以前では不適切な抗生物質の使用によって腸内細菌のバランスを崩し真菌症を起こしている場合が多くありました。本人に自覚はありませんが、こうして不調が始まっているケースもあります。腸内細菌のバランスの乱れが、喘息を悪化させるメカニズムを解明 筑波大学 科学技術振興機構感染力がある段階での治療はお受けすることはできませんが、感染力がなくなったあとの後遺症治療に関しては受け付けを再開しています。◎感染症後遺症 体験談:「ドブの様な臭いがする」新型コロナ後に再発した異臭症。【匿名 70代 女性】「コロナ後遺症。身体が痛い、眠れない」【R.Sさん 43歳 女性 介護職】 「新型コロナ感染後の疲労感」【A.Hさん 40代 女性 調理】「新型コロナ後の不眠・過覚醒」【匿名さん 20代 男性 学生】「経験したことのない倦怠感」慢性上咽頭炎 【M.Nさん 40代 女性 歯科助手】「気管支炎で夜も眠れない」産後の風邪と消耗【匿名 30歳 女性 主婦】病名や症状名よりも大切なこと風邪にも段階があります。その影響が粘膜にとどまるのか、リンパ節にまで及んでいるのか。さらにはもっと深くへ及んでいるのか。それによってやるべきことが変わります。後遺症の場合はかなり深いところまで影響が及んでいるのが普通です。感染症後遺症症候群といってもその内実は様々です。誠花堂では病名よりもそういった内実を問題にします。なかなか伝えにくい所ですが、ここでは「だるさ」を3例取り上げて具体的にみていきましょう。”だるさ”にもいろいろある咽が痛み、寒気があり、体温が上がっていく時のだるさ。解熱した後に残るだるさ。熱もなく痛みもないが、じっと寝ていたい。起きられないというだるさ。それぞれがまったく違います。なにがどう違うのかを説明するには専門用語を使わざるを得なくなるのですが、例えば太陽病、少陽病、太陰病といった用語で明確に分けられています。「だるさ」という点だけではこのような区別はできません。その区分によってお灸を中心にしていった方がいいか、鍼だけの方がいいか、両方がいいかが変わったりもします。鍼の打ち方、順番も変えたりします。こじれてしまった場合は放っておいてもなかなか治りません。私が治療をしていく中で感じることは、状態は段階的に変化しながら回復していくということです。ダメージが深ければ回復まで何か月もかかることもあります。そして、その時々の状態に合わせて治療方法も変えていく必要があります。そういう視点は鍼灸ではほとんどなかったため、私は湯液(漢方)からそれを学び、治療に活かしています。すべての不調を完全回復させられるとまではいいませんが、現代医学に限界があるなか、新たな視点から取り組んでみたいという方にとって鍼灸は最も優れた治療法だとわたしは思います。