よくある症状 顎が痛い、疲れる口の開閉で音が鳴る、痛む大きく口が開かないかみ合わせに違和感を感じる顔にゆがみが出ている口を閉じたとき、通常は歯と歯の間にわずかに隙間ができます。その隙間がなく上記のような症状ある場合、おそらく無意識にかみしめが起きています。首周りの緊張も強く、頭痛を併発しているケースもよくあります。”かみしめ”はなくても強い緊張があることもあります。一般的にいわれている原因 食いしばりや歯ぎしりによる噛み方の癖、姿勢や頬杖を突いたりする習慣、精神的ストレスなど、原因は多岐に渡ります。あまり分かっていないというのが実情です。誠花堂の考え顎関節症の問題を整理するとこのようになります。・骨格系の問題・筋肉系の問題・神経系の問題・メンタル系の問題歯を削る前に関節円板のズレ、軟骨のすり減り、骨の変形など骨格系の問題については、鍼灸で直接回復させることはできません。また噛み合わせの悪さも、歯列矯正や咬合調整などで対応してもらう方がよいです。ただ、その前にそれ以外の問題を緩和させておく方が後々良いと言えます。顎回りの筋緊張と短縮を減らしておく筋肉系でいえば咀嚼筋が問題となります。これらの筋が長年の緊張で短縮していたりします。その緊張の度合いにも左右差があるのが普通で、左右差が強いと顔貌は歪み、シンメトリーが失われます。噛み合わせの調整をしたのに、偏りを強めてしまったりすることが起こるのは、そういった面の問題を解決させていないためかもしれません。また緊張が改善した時にかえって違和感を感じたりします。咬合調整で歯を削るのには慎重であるべきです。なぜ噛みしめ・食いしばりがおきるのかくいしばり・噛み締めがなぜ起こるのかについては神経系の問題が大きく、精神的ストレスとの関連もあるとは言われていますが、実はまだはっきりしたことが分かっていません。この辺は発声障害にも通じるところがあります。そこで役に立つのが東洋医学の視点です東洋医学においてはこれらの症状を肝胆の異常、風証、痙症など様々な言葉で理解してきました。抽搐(ちゅうちく)痙瘲(けいしょう)というチックに近い概念もあります。外感・内傷など違いはありますが、その発生には古来から誤った発汗法が指摘されています。葛根湯や麻黄湯の乱用も一因になります。いずれも西洋医学にはない視点だといえます。簡単な症状とはいいませんが、やりようはあるということです。東洋医学的には気血水の調和、臓腑経絡の状態、瘀血や痰飲があるかどうか等々、見るべきところはいくつもあります。誠花堂の特色私見では顎関節症・かみしめ・くいしばりは姿勢・呼吸・意識のあり方が深く関係していると考えています。胸郭や腹部の調整が必要な場合も多いです。全体性としては自然といい姿勢で座れるようになることが大切です。悪い姿勢だと首や肩にムダなちからが入ります。これが緊張です。緊張させないと座っていられない。だから疲れます。かといって”いい姿勢”も続きません。無理があるからです。”自然と”いい姿勢が取れるようになることが大切です。そうなるようにしていきます。それが実現できれば呼吸も深くなり、余分な力が抜けていきます。顔面の緊張だけ取ればいいという訳ではないのです。希望にもよりますが、そのための機能訓練をしてもらう場合もあります。太極拳やヨーガ、禅を通じて学んできた経験を治療やアドバイスに活かしています。顎関節症・食いしばり・噛み締めは医師や歯科医師が担当する疾患ではありますが、どちらも鍼灸師のような手技療法の教育は受けていないため、どうしても限界はあるそうです。当院ではこれらの症状への対応も日常的にしているため、一味違ったアプローチができると思います。病院・クリニックと比べ、詳しくお話を伺い、しっかりと身体所見を取ることができます。そういう点がとても安心できると、ご好評を頂いております。おまけ:顎の外・内コリはほぐそうとすると余計に硬くなるので、ほぐしてはいけません。コリはほぐすよりも鍼で刺激する方が効果が高く、長く、かつ即効的です。局所治療としても鍼は優れています。局所的には、側頭筋や僧帽筋、胸鎖乳突筋、外側翼突筋、咬筋等に問題がでやすい傾向があります。これらは外側にある筋肉です。刺鍼がしやすく、即効性も期待できます。この図では描かれていませんが、顎の内側も大切です。顎の内側にも内側翼突筋など複数の筋が存在します。これらは顎の外からは触ることができません。血管や神経も多く、鍼を入れていくのにも慎重を要するところです。こういった顎の中にある組織の状態も重要です。物理的に手が届かない場所なので、そこに作用させる方法は一般的にはありません。そこをなんとかするための、あの手この手を用意しております。ごく一部を紹介しました。