夜、宇宙からみた私たちの世界です。明るいところは煌々として、街の光がよく捉えられています。Astronomy Picture of the Day日本列島が明るく輝いています。これだけ輪郭がはっきり見えるのは、それだけ電灯が多いということです。かつての夜は、月明かりが大変有難いものであったに違いません。月のない夜でも、安心して夜道を歩けるのは当たり前のことではなかったのです。一方で、明るすぎる面があります。かつて、家の中は今よりもずっと暗かったはずです。昔の様式が比較的残っていそうな場所。例えばお寺にいけば、それがよくわかるかもしれません。「部屋が明るすぎてきつい、具合が悪い」という辛さがこの世にはありますが、これも現代病といえるでしょう。毎月、横田観風師が主催される合宿があり、私は7年ほど参加させて頂いていました。そこは日中、明かりをつけません。それが繊細な感覚を養うために、とても意味があったと思っています。というのも、我々は当たり前のように電気を使いすぎるということです。明かりがあることに慣れすぎています。文明器具に頼りすぎると、わたしたちの原始感覚が鈍くなる。しかし、その事に気づくチャンスはなかなかありません。大変革の時代を生きている19世紀の産業革命以降、人類の生活は大きく変化しました。そのことが私たちの健康に一体、どのように影響しているのか。皆さんは想像してみたことはありますか。例えば交通機関の発達は、私たちの体験世界を拡張し、同時に足腰を弱くしました。水汲みや洗濯の重労働もありません。狩猟採集や農耕栽培といった肉体労働をせずに、食べ物を獲得するというライフスタイルは、近代化する以前は一部の特権階級くらいにしかできないことでした。古代中国では、糖尿病を「富貴の病」と言っていました。王侯貴族のように美食ばかりしているとかかる病という意味です。今は一般人の間でも富貴の病が蔓延しています。人類のDNAは10000年前から変わっていないと言われていますが、私たちの生活は産業革命後に激変し、さらにこの20年ほどでも社会はIT化し、生活は更に激変しています。つまり、9900年間は人類にとって当たり前(ノーマル)だったことが、ここ100年で覆されている。長い人類史から見たら非常にアブノーマルな生活を私たちはしているのだと言えます。DNAレベルでは変わっていないのに生活環境は激変しているのだから、その変化に適応できなくてもある意味で当然な訳で、あらゆる現代病の背景には、この激変への適応障害があるとも言えなくはない。私たちの生活は、大きな変化の只中にあるのです。「健康のノウハウ」も大切ですが、そもそも私たちがいま、どういう時代を生きているのか。まずはその事を理解しておくことは、まわりくどい事のようですが意外と大切なのです。私たち、人類の原初の生活がどうであったのかを知ること、忘れないこと。その一つのワークとして、「日中は明かりをすぐつけないで暮らす」をやってみてください。なにかしら発見があるかもしれません。