クローン病や潰瘍性大腸炎は難病指定がされており、鍼灸では用がないように思えます。ですが意外と効を奏することがあります。やまいには陰陽虚実があります。陰か陽か、割り切れるような症状であればどのような病名に関わらず対処しやすいものです。やまいには陰陽虚実がある難しい症状であるほど、陰も陽も、冷えも熱も混在しているのが普通です。そのために複雑で治りにくい症状になっています。クローン病や潰瘍性大腸炎のような難病はそれに該当します。そのために施術期間も長くなる傾向があり、かつ、どれだけ手を尽くしても著効とは言い難かった例も過去にありました。それでも、試してみないとわからない面があるのも事実です。私の鍼で対応できるケースであれば、施術後に症状が緩和するなど、なにかしら反応がみられます。そうであれば、それを積み重ねていけばいいわけです。なので初めに、10回を1クールとして考え、頑張って通って頂きたいとお話をしています。その間に私もあの手この手を尽くします。まったく効果を感じられないのに、ズルズルと通わせるようなことはありません。セルフケアも大事症状をコントロールできないことから、不安が起こり、それがまた症状に悪影響を及ぼす面があるので、自身で症状をコントロールできる術を作る、増やすことが必要です。「施術を受ける」のもそのひとつですが、それだけではなく、ご自宅や職場でできる様々なアイデアを提供します。病気に支配された状態を脱し、ご自身に主導権を取り戻すことが必要です。どうぞご相談ください。潰瘍性大腸炎38歳 男性 会社員 I・Nさん 2011/06/30中心性網膜症を合併。緩解期にあるが血便と下痢が続く。初診から3か月間、週2回のペースで治療。鍼灸治療を始めてから、血便が止み便通が正常になる。その後、横浜の鍼灸院を紹介しそちらで治療を続けられた。クローン病または潰瘍性大腸炎16歳 T・Kさん病名が確定していない症例。硬便と下痢を繰り返し、粘血便がある。鍼治療をすると、ドロドロの便が出て頭がすっとするという。腹痛が減った。4回目、体重が少しづ増えてきたという。7回目、腹痛がない。下痢・下血はまだあるが減った。オナラの臭さが減った。その後、安定していたが更にという事で、両親の判断で漢方薬を服用。合わないのか再び激化。クローン病または潰瘍性大腸炎 218歳 女性 2018/06/092017年11月から毎朝の腹痛と下痢が3回、粘血便。大学病院での検査ではクローン病・潰瘍性大腸炎・子宮内膜症などの診断。服用後、大きな口内炎、酷い腹痛で立っていられないなど、反って症状がきつく続けられないという。治療3回目、血便が止む。5回目、血便は概ね収まっている。だが受験もあり遠方からの通院が難しく、治療はここで中断となった。年齢が若く、発症からの年月も浅いことから効果が出やすかったと思われる。クローン病50代 男性 T・Kさん20歳の時、クローン病を患い、大腸・小腸の右半分、胆嚢も切除。下痢、出血が酷く、様々な症状が出ていた。初診から3回目、出血が収まってくる。6回目、下痢の回数が減る。治療を受け始めてから、職場での飲み会でも、たいした体調の悪化もなく過ごせている。過敏性腸症候群18歳 学生 Y・Sくん下痢、吐き気、頭痛などがあり登校できない。起立性調節障害と診断。朝に調子が悪く、起きられないなど。一度トイレに入るとなかなか出られない。食欲がない。過敏性腸症候群、起立性調整障害と診断されている。風邪を引きやすく、鼻もよくない。治療開始から数回した頃、トイレから出られないほどの腹痛と下痢は収まり、登校ができるようになった。その後は、無事高校を卒業し、進学することができた。過敏性腸症候群50代 女性 A・Sさん冬。首肩が痛み、手は痺れて寝れない。便秘と下痢を繰り返す。逆流性食道炎既往。初回治療後、宿便らしき黒い便が大量に出た。2回目には下痢が出てお腹がすっきりしたという。肩こり用のテープを貼らなくても生活できるようになった。4回目、逆流することがなくなった。その後、いつも具合が悪いという3月を迎えたが、例年の花粉症がほとんど出ていない。ついでに良くなってしまった。便秘と下痢を繰り返していたが、頻度が少なくなり、生活上の支障が少なくなっていった。過敏性腸症候群34歳 I・Aさん慢性胃炎による下痢が元々あるが、2017年6月から悪化し、年末に激化。一日に7,8回便意があり、仕事に支障が出ている。起立性調節障害または過敏性腸症候群であると診断。投薬治療を続けるが改善ならず。よく2018年1月誠花堂で初診。治療2回目、便が硬い日が出た。便意は2,3回で済んだ。8回目、安定している。14回目、朝だけ何度かトイレへ行くが、午後は大丈夫になる。低気圧での不調が起こらない。24回目、下痢はあるにはあるが、大崩れすることがなくなり、持ちがよくなった。体重も若干増え、自身も得たのか、外出の機会も増えた模様。潰瘍性大腸炎51歳 女性 O・Mさん 2019/03/15発症から一年半。下痢と下血が主訴で来院。下血は少量だが、一日の内に下痢が3,4回起こる。アサコール服用。治療開始5回目、下痢が治まってくる。11回目までの間に手指・顔面の腫れ・痛みが出現。いずれも胃・大腸に関連する領域に現れている。下血、下痢が減少。体重が増加してきた。完治とは言えないが緩和傾向にあるため継続中。関連記事:公益社団法人 全日本鍼灸学会より鍼灸で過敏性腸症候群が改善する近年ではこれらの疾患の陰に、慢性上咽頭炎が関連するという考えも出てきていますので、そちらについても書きます。参考:慢性上咽頭炎