”温めれば病気は治る”という発想が広まっています。近年はホットヨガが流行りましたが、最近ではサウナが話題です。”ととのう”のだそうですが、本当のところはどうなのでしょうか。時代を少しさかのぼれば「身体を温めて〇〇が治る」というタイトルの本もありました。それならば、ホッカイロを貼ったり、コタツに入っていればいいのです。しかし、それで病気が治るなら苦労はありません。温めることに害などないと考えている人が大半です。ですが、温めることで不調が悪化することはあります。「温める」の落とし穴温活にはいろいろ問題があると思います。話としては分かりやすいですし、マスコミも取り上げたりしますが無責任な話です。10人中5人にはいいかもしれないけど、5人には合わない。または悪化するはずです。中国医学においては治療方法を、汗・吐・下・和・温・清・消・補の8つに分類する考え方があり、状態に合わせて使います。温めるのは温法ということになりますが、それも8つある内のひとつに過ぎません。そのため通常、「温法だけで治療する」などということはありえません。そんなことをするのは、よほど偏った信念の持ち主であるか、実際を知らない素人だけです。よもぎ蒸しも温熱療法のひとつです。もぐさで焚くお灸療法なので本来、国家資格がいります。心配であれば受ける前に聞いてみるといいです。我々は病の本質をみるために診察をしますが、鍼灸師であっても難儀することです。素人にできることではないからです。よもぎ蒸し自体がいい、悪いというのではなく、状態を見極めずになんでも温めれば済むという考えだから間違うのです。本人が冷え症だと思っていても、まったく合わない事はあります。 **誠花堂ではよもぎ蒸しはやっていません**温泉で湯あたりするように、温めて具合が悪くなることは多々あります。温めることで精子が減少し、男性不妊になるともいわれていますが、それは起こりうると思います。温めること自体が悪いというよりも、自分に合った”最適”を知らぬままにやるからよくないのです。適不適を無視して闇雲にやるから良くならないし、悪化したりするのです。網膜色素変性症の方で、温活を止めさせただけで視力が向上した方もいます(私の治療効果もあったかとは思いますが)。良かれと思ってやっていたことがマイナスだったというわけです。慢性の咳が収まった、更年期症状が減った、白髪が減った、慢性疲労が減ったという人もいます。基本であり奥義自分にあった方法やタイミングがあるのです。それを知るためには必要な事はたったひとつです。それは自分自身のことを知らねばならないということです。これは健康に関する基本であり、奥義です。そして当然ながら、あなた自身のことは雑誌やネットには書いてはいません。自分自身のことを知るのは、ある意味では簡単です。ただ、根気と綿密さがいりますし沢山のトライ&エラーが必要です。あるいは素直さや勇気が必要です。時間がかかるのが普通です。何もない所から始める場合は、ある程度ガイドしてくれる人も必要でしょう。そうでないと膨大な遠回りをすると思います。自分でも分からないことを把握してあげるのがわたしたちプロの仕事です。本人に試してもらわないと分からない事も多いですが、そうすることで時間と労力の無駄を減らせるともいえます。誠花堂に来なさいと結論したいわけではないですが、あまり踊らされないようにお気をつけけ下さい。踊らされない「温めよう」というところから「これを買えば解決」と購買に繋げられます。「自分自身を知る」は本質ですが、それでは商品が売れません。自己啓発セミナーなら話は別ですが。会ったこともない、話したこともない不特定多数に商品を売りつけたいなら、分かりやすい話が必要で、難しい話は省く必要があります。分かりやすいキャッチコピーや世間のブームには注意が要ります。それで懐を温めている仕掛け人がいるかもしれないと思うべきです。あまり疑心暗鬼になるのもよくありませんが、消費者が賢くならないと永遠に踊らされ続けることになります。健康を害するならなおさらです。単純な話に乗っかり過ぎない。現実をまったく知らない人たちの論説です。身を守るために必要な知恵です。