「たかが頭痛」と思われがちです。頭痛は時に日常生活がままならないほどの辛さを伴うことが知られていません。その事が余計に、頭痛患者の苦しさを増大させています。私自身が頭痛もちであったため、辛さを理解できますし、得意な分野の一つです。頭痛の種類には色々ありますが、それらは日常の些細なことが複雑にからみ合って起こっています。例えば姿勢と身体の使い方、睡眠の質、食事の内容、天候の変化、エアコンなどの空調の影響といったことです。逆に言えば、それらを解きほぐし、日常のチェックポイントさえ押さえておけば、予防することもできます。ここでは印象的なエピソードだけを紹介します。50代 女性 自営 S・Mさん酷い頭痛がして目が覚めたのは、明け方のことだった。もともと、食いしばる癖があり、普段から首肩が辛い。せっかくの休日だというのに、気分も鬱々として外に出かける気など起こらない。下半身が氷に浸かったように冷めたく感じる。治療を初めてから5回目。頭痛も食いしばりもなくなり、睡眠の質が良くなる。下肢の冷感、むくみが減り、足が細くなった。元気もやる気も湧いてきた。40代 男性 会社員 K・Nさん「ああ、また来たか…」いつものこの頭痛が始まると、痛みのために息をするのも辛い。音や光も鋭く感じる。暗室で横になろうにも、かえって酷く、吐き気までするので身の置き所がない。このような頭痛が発作的に年に数回現れる。「だけど、これ以上薬に頼るのも嫌だ」。そう言って来院された男性。この時も頭痛と吐き気がある。初回治療後、頭痛はかなり緩和し、なんとか動けるようになった。その後、大量のお通じがあり、頭痛は消えていった。体質的な問題があるので、定期的にメンテナンスされたほうが良いのだが、具合が悪くなるころに来院される。当院に来られる方たちの傾向では、自律神経失調症といって来院される方と重なり合う部分が多くみられます。こういったケースでは特によく奏功するようです。東洋と西洋、2つの知識によってあなたの頭痛をより深く理解することができます。あなたの体質、これまでの経過、現在の状態を把握することで、必要な治療を選ぶことができます。ほとんどの頭痛は克服可能です。治療中、その場で痛みが消えることもしばしばです。鍼だけで再発しなくなる人もいますが、生活から来ている場合も多く、その場合は生活の改善も必要です。そこまでやりたいという人にはアドバイスもしています。危険なタイプの頭痛頭痛のなかには生命予後に関わる疾患が潜んでいる可能性もあります。・突然に起こった経験のしたことのない頭痛・ここ数ヶ月徐々に悪化している・麻痺・ひきつけなどの徴候がある・物が二重に見えたりする・意識や言葉に影響が出る・頭痛に発熱が伴う以上のどれかに該当するのであれば、重大な病気が原因で発生している可能性があります。すぐに脳神経外科や神経内科などの専門病院を受診されることをお勧めします。参考『頭痛の診療ガイドライン2021』監修:日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学 医学書院『頭痛クリニック』寺本純 診断と治療社『図解経筋学』西田浩一 東洋学術出版社