近年「慢性上咽頭炎」と診断を受けて来院される方が増えました。皆さん一様にBスポット療法を受けておられるといいます。様々な不調の原因が上咽頭にあるという考えに基づき、刺激を与えていく療法のようです。時代は変わったなと感じます。ある意味、東洋医学がずっとみてきたことでもあるからです。風邪を引いたり、鼻腔粘膜のちょっとした異常が全身に影響が及ぶことを古代の中国人たちは知っていました。それを鍼や漢方薬で治してきたのです。とはいえ違いも多々ありますので、その点について述べます。なぜ良くならないのか誠花堂ではBスポット療法のように直接、物理的に上咽頭を刺激する事はしていません。代わりに上咽頭に関連する経絡を使い、病巣の変化を促します。頭部や顔面部に鍼をすることもありますが、手や足に鍼をすることが多いです。それで実際に変化は起こります。そこから言えることは、慢性上咽頭炎を治めるために必ずしも物理的な刺激を必要としないということです。このことは非常に重要で、なぜBスポットで良くなる人と良くなりにくい人がいるのかという問題にも関わっています。確かにあなたの鼻の奥を覗いてみたら上咽頭が腫れていたのかもしれません。しかしだからと言って実はそれが不調の原因とはいえません。たまたま上咽頭「も」腫れていたというだけのことかもしれません。むしろ上咽頭は問題のごく一部に過ぎない。そういう場合はBスポットを何十回やってもなかなか取れないでしょう。上咽頭以前の問題として、個人を診る視点があるかどうかが重要です。これはあらゆる病気治療の際に遭遇する共通した問題です。そこを診る手段があってその人に本当に合った適切な刺激が加えられたなら、あっという間に回復のスイッチが入ったりします。フリーズから復旧し再起動し始めるかのようです。もちろん個人差はあります。これまでの経過や服薬歴、病状、基礎体力などによってさまざまですがまったく無反応ということはほとんどありません。⇨効果が出やすいか、出にくいか同じ病名でもポイントは同じではない同じ病名であってもそれぞれの問題のポイントは異なっています。ある人はわき腹に、ある人は鼻の奥に、ある人は足首に、、、、というように上咽頭以外の問題があります。そういったパーソナリティーを考慮せずに治療をするとなると刺激量は多くなってしまうのが普通です。「効きが悪いなぁ、、、もっと強く刺激したら効くかな・・・」という発想です。鍼灸師もよくやります。必要があってのことなら仕方ありませんが、分からなくて刺激量を増やすことがあります。正直を言えば、わたしも行き詰まるとたまにやることがあります。個々人の体質や問題をみて刺激をすべきであって、鍼もやたらと打てばいいものではありません。特に難しい疾患の場合、定型的な治療を漫然と続けてもなかなか変わりにくいものです。時と場合に応じて治療方法や順番、使うツボ、道具を変えたりしながら柔軟に対応しています。西洋医学と東洋医学 両方あるといい病院での治療に限界を感じて東洋医学に期待を寄せる方は少なくありません。東洋医学では体質的なベースの底上げすることで、患部の回復を早めます。それは西洋医学にはない視点です。聞くところによればBスポット療法の刺激はかなり強いと聞いていますが、患者さんたちの感想によると鍼の方がはるかに刺激が少ないそうです。なので併用してもらえたら苦しむ時間が減るのでは?という気もします。宣伝ではなく良心から言っています。誠花堂にご来院される方の大半が「鍼ははじめて」とおっしゃいます。初めは鍼は怖かったけど実際は大したことなかったという場合がほとんどです。その点は安心してご相談ください。体験談:「ドブの様な臭いがする」新型コロナ後に再発した異臭症。【匿名 70代 女性】「経験したことのない倦怠感」慢性上咽頭炎 【M.Nさん 40代 女性 歯科助手】 「コロナ後遺症。身体が痛い、眠れない」【R.Sさん 43歳 女性 介護職】 「咽の不快感に伴う不安感」慢性上咽頭炎【匿名 50代 女性 公務員】扁桃炎咽頭扁桃のあたりを上咽頭といいます。元々、扁桃炎の治療が得意なので治療例もたくさんあります。新型コロナ後遺症 新型コロナ後遺症として来院される方に慢性上咽頭炎を訴える方も多くいます。症例一例として紹介します。F・Yさん 46歳 2022/10副鼻腔炎と耳管開放症。倦怠感。5回目、鼻の調子が悪くなったり波があったが半減。6回目、服薬が要らなくなるほど回復したため終了となった。M・Yさん 42歳 2021/08慢性的な疲労感、月に2.3回頭痛、鼻炎。起床後30分はきつくて動けない。4回目、不眠が軽減し朝のきつさが減った。すぐ動ける。6回目、ステロイドを使用していたが、使用せずとも過ごせる。頭痛も起きなくなった。11回目、ほとんどの症状が楽になったため終了。元々の体質やこれまでの経過により、長引く場合もあります。おまけ感染症後遺症と古典医学舟に刻して剣を求むという諺もありますが、時と場合をみずに鼻粘膜を刺激しても治りにくいはずです。例えば、鍼灸では刺絡(鬱血部分から瘀血と邪気を抜くこと)という必殺技みたいな手技があるのですが、それでも時期を見てやらないと効果は望めませんし、悪化することもあります。そのタイミングは鬱血部分だけを見ていたのでは判別できません。タイミングがあえば劇的に、一撃で症状が取れたりします。逆にいえば、やたらとやれないのです。言いたいのは、上咽頭だけを見ていたのでは分かないことがあるよということです。こういう時こそ『傷寒論』が役に立ちます。傷寒論に精通した鍼灸師はそうそういないので、福岡県の鍼治療なら誠花堂にお任せください。ここは宣伝です^^。*『傷寒論』とは、感染症からの後遺症症候群と、そこからのリカバリについて述べた、古代の専門書です。発熱のとらえ方慢性上咽頭炎と診断名がおりる前に、繰り返し何度も邪気(ウィルスや細菌等)に侵入されてきたはずです。または内攻させるような状況や間違いがあったはずです。そうして体内深くに侵入されると、より大きな不調を引き起こします。東洋医学では発熱を必ずしも悪くは捉えていません。そこが西洋医学と大きく異なるところです。現代では「熱が出た」と言っては、すぐに下熱剤や抗生物質をのんでしまいます。幼少期から当たり前のように服薬してきている場合、どんな時でものまずにはおられないような認識になっていることもあります。しかし、そうしてこじれていそうな風邪が結構あります。そういう場合、そのこじれたところを立て直さないと、何を治すにも効率が悪いのです。色々書きたい事は他にもありますがこのへんで。なかなか良くならない慢性上咽頭炎。行き詰まっているようでしたら、一度ご相談ください。