湿疹と皮膚炎は皮膚病の中でもっとも多い病気です。その症状によって脂漏性湿疹、乾燥性湿疹、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎などの名称がつけられています。誠花堂には厳しい食事制限、温泉療法、脱ステロイドなど…様々な方法をすでに試みてこられた方が来院されています。ここでは慢性化した皮膚病に絞って述べます。皮膚病の原因外因と内因に分けられます。1)外因a,化学的な刺激:汗、化粧品、石鹸、整髪料、髪染め、薬品などb,物理的な刺激:日光、衣類、ほこり、寒冷など2)内因a,肝臓、腎臓の新陳代謝系、胃腸系、自律神経系、ホルモン系に関連する問題。皮膚は内蔵の鏡内臓の健康状態はそのまま皮膚に反映されます。寝不足で化粧のノリが悪い。過食や月経前にニキビが増加。肝臓の影響で黄疸。貧血で真っ青に。皮膚と内臓とは深い関係にあります。皮膚病は内科的性格が強い疾患です。そして一般にはあまり問題にならないような小さな内臓機能の変化が、皮膚病発生に深く関わっています。それは健康診断などでは問題にならないごく小さな変化です。根本治療がないとされている理由のひとつです。そういった微細な変化を知る術は東洋医学にはあり、望診や腹診といったアナログな診察によって調べます。その意味を解釈する医学の体系がある点で、民間療法とも一線を画します。一般的な治療一般的には内服薬、外用薬などの薬物療法が主体です。その他、玄米採食などの食事療法、断食療法などさまざまな民間療法があります。最近ではクリニックで漢方を試されているかたも多いですが、それが思うほど合わないということで誠花堂に来院されるかたもいます。誠花堂の考え・慢性化した皮膚病の場合、臨機応変な治療技術が必要です。その時々にあった方法を見極めないと最後まで上手く導いていくことができません。病期によって針だけ、お灸だけで治療することもあります。併用することもあります。刺絡や火鍼を使用したり色々です。千変万化しながら緩解に至っていきます。・頭痛、顎関節、便秘の改善や、精神を鎮める治療が必要なケースもあります。多元的なのが普通なのでそこをかみ分けつつ、効果の高いツボを厳選して刺激していきます。・症状を緩和し、範囲を縮小させ、自力でコントロールできることを目指します。皮膚病に人生を支配され、食餌療法にも支配されたままではなく、主導権を取り戻していく必要があります。このことは皮膚病に限らずすべての疾患に対していえることだと考えています。アトピー性皮膚炎20代 女性Y・Mさん5歳くらいからのアトピー性皮膚炎。食事で悪化しやすい。脱ステをしていたが、それだけではきついということで来院。2回目、精神的に安定している。7回目、月経痛がなかった。肌もだいぶ良い。たまに食事で悪化することがある。14回目、お顔の赤味も大分減った。ステロイドを使わずとも綺麗になっている。20回目、ポテトチップスを食べても悪化しなかった。これはとても順調なケース。20代 女性 K・Nさん手のひらと甲、肘関節に紅斑が強い。かきむしり血がにじんでいる。身体全体が乾いた木のように固く、弾力がなくなっている。皮膚も渋皮のように固く突っ張っている。5年前からの無月経。味覚の異常がある。鍼刺激を中心とした治療を始める。水泡が手足に現れ始める。一年を経過する頃に、月経が始まると同時に皮膚炎が治まっていく。春になってから情緒不安定となり、訳も分からず涙があふれ出し止まらないという状態が続いていたが、それも月経の再開と共に治まった。30代 女性 エステティシャン I・Fさん冷え症と月経不順あり。秋冬になると肌が乾燥し悪化する。仕事上どうしても手が荒れる。通院頻度は少なく、食養、運動など、生活の改善には消極的なため、効果は限られることは了解の上で、治療開始。初診は11月で絶不調。首、目の周りも腫れているが、2回目の時には大分引いた。ジュクジュクとした痒みが減るというので、たまに刺絡を交えつつ治療を継続。途中、耳垂れ、歯の治療による抗生剤の使用などがあり一進一退を繰り返す。翌年の秋冬は大きな悪化はなく、落ち着く。尋常性乾癬31才 女性 O・Tさん19才の頃からずっと、薬疹だと言われていたが、29歳の時に尋常性乾癬であることがわかった。ステロイド療法により落ち着いていたが、深夜帰宅と激務が続き、31歳の春に悪化。顔面・胸とその背部・首の付け根の痒みと紅斑。不明瞭な直径4cm大の紅斑が連なる。足冷。フルマラソンをしても汗をかけない。たまに鼻血。 初回の治療。治療中に大発汗。帰宅後、数回にわたり軟便。2回目、胸の中心にあったという乾癬が消失。後頭部の紅班は残るものの、痒みは消失し、ステロイドを使用しないで済むという。発する気が明るい。7回目、鍼灸治療を始めてから、肌の調子は良いという。ステロイドはまったく使わずにいられる。ストレスが重なると痒みや紅斑はまだ出るが、鍼をすると緩解。辛くなる時にふらりと来院。女性 匿名2019年の夏に発症。4人を出産、入浴後の悪化、汗をかけないなどの所見。かなりの虚証タイプである。乾癬は両下肢に多く出ている。初回の治療後、乾癬はほぼ消失。たった一回で劇的に消えてしまった。2回目の来院は4か月後。前回の治療後、とても楽になったが、久しぶりに出てきたということであったが、それでも大分きれいになっていた。日光性過敏症26歳 男性 K・Tさん仕事の激務がたたり、23歳で発症。日光を浴びると、顔面部に炎症が起こる。その後、夜間の仕事に移ったが、不規則な生活で更に悪化していった。手足も氷のようにつめたい。主に病院での治療を受けて来られてきたが、決定的な治療法がないという。鍼を数本打つと、着替えがいるほど大量の汗をかく。2,3回目以降も、鍼をするたびに、同様の現象が起こった。また、本人の希望によりお灸を自宅でも実践してもらった。治療を続けるごとに手足が温まり、精神的にも肉体的にも緊張が解け、外を出歩いても症状が現れなくなる。経過観察を含めて、7回の治療で終了とした。脂漏性皮膚炎33歳 男性 会社員 I・Yさん 2015/08/15髪の生え際、目の周り、顎回りから首にかけて皮膚炎がある。脂漏性湿疹と診断を受け、整体やカイロを受けていたがよくならない。カミソリ負けではないかといわれているが、違う気がすると。知人の紹介で来院。2回目、症状はまだ強い。4診目、症状がよくなりフケが減る。7診目、あまり目立たない程度に落ち着いてくる。12診目、同僚や周囲からの目も気にならなくなった。治療を終了とした。50代 女性 会社員 B・Sさん 2013/07/132010年にピロリ菌を除去してから、胃の状態が思わしくない。耳の下に脂漏性の皮膚炎があり痒い。首まわりにはシコリがコロコロしている。週1~2回の治療。初回治療後、耳の周りの痒みが減って爽快。2回目、治療後には必ず下痢が起こるという。耳周りは劇的に変わり、シコリもほとんど消失。3回目、治療後の下痢は止まり、代わりに小水の量が増えた。滝のような汗はかかなくなる。首のガサガサ感は残る。7回目、閉経後だったが、瘀血がたくさん下る。それに伴い、お腹の冷えが減少。20回目頃から、今までとは違うタイプの皮膚炎とかゆみ、熱症状が出始める。食欲が戻り、朝ご飯が食べられるようになってきた。 一進一退を繰り返しながら34回目、ツルツルの肌の範囲が増えてきた。脂漏性湿疹と首のしこりは9割方消失。42回目、毎日唇がバリバリになり剥けるようになる。50回目、唇が剥けることもなく脂漏性皮膚炎もほぼ収まり、治療を終了とした。顔面の紅斑30代 男性 Iさん顔面に紅斑が出て治らない。奥さんに勧められて来院。初回治療後、咽が痛くなり咳が出始めた。顔面の紅斑は減少。2回目、咳だけが残っている。3回目、やや咳は残るが、顔面の症状も出なくなったため、治療を終了した。